過去の特別展
文明の黎明期から人類は陸路と海路を通じ様々な交流をしてきた。これは「交流」が人間の本姓であり、文明発展の原動力であることを示す。東洋と西洋は「シルクロード」と呼ばれる草原、砂漠、海を通じ政治・経済・文化的に交流をした。この中で海は規模と経済的な面で陸路より効率的であったので、7世紀以降、次第に陸路に代わる海上貿易の時代が開いた。インドの僧侶、龍樹(りゅうじゅ、Nāgārjuna 150ー250年頃)は「十住毘婆沙論(じゅうじゅうびばしゃろん)」で難行道(自力による難しい修行法)と易行道(他力による易い修行法)を陸路と海路に比喩する。この記録は紀元後の海上貿易の発達と選好を代弁している。
造船術と航海術が発達し新しい航路が開拓され、移動時間はもっと短縮された。これによって海を通じた貿易の比重がますます高くなり仏教の思想と文化も自然に拡散した。
国立海洋博物館の企画展「仏教の海道」は仏教文化の交流から見た海の意味、それから荒く茫茫たる海に挑戦しながら航海の無事を祈る切実な願いに目を配る展示である。この展示を通じ、海道の役割と重要性が再び評価されることを望んでいる。